Biden

第46代大統領はバイデン氏。議会が承認

 米大統領選挙に、ひとまずの決着がついた形となった。昨夜未明、上下院合同議会を経て、ジョー・バイデン氏が第46代アメリカ合衆国大統領に正式に承認された。

 率直な感想を言うと、トランプ大統領支持者たちの熱意や、ラリー(集会)の熱狂が2016年の選挙以上に手堅いものに見えたので、この結果は読みから外れてしまった。新型コロナウイルス騒動前までは特に、トランプ大統領の打ち出した政策の経済効果は、具体的な形にも表れていた。保守層からの信頼度は極めて高かったと思う。私は当初から、「どちらが勝つと思いますか?」と聞かれれば、トランプ大統領が勝つだろうと公言していたので、私の予測は間違っていたことになった。

 昨年11月3日以降、アメリカ社会はストレス下にある状態が続いていた。理由は「選挙が公正に行われなかった疑い」があったため、選挙の決着が正式にはついていなかったからだ。だから本来ならば、昨日この決着がついた段階で誰が大統領になったとしても、「ああ、ようやく終わった」的な気持ちになれたはずなのだが、私個人はなんとなく、とてもそういう気分にはなれない感じだ。

気になる、トランプ支持者の民意の行方

 その理由は、「トランプ大統領が再選されなかったから」、ではない。これについては何度もこのブログで書いてきたが、そもそも私はトランプ大統領の妄信的支持者というわけではないので、この結果に納得いかずに怒っている状況とは違う(ただし、冷静に彼の政権や彼の発言を見た時、国民へもたらされた恩恵は少なくないとは思っている。彼のラリーも9割、一言残らず聞いたり観たりした上でこれを書いている。良いものは良い、賛成できないものは賛成できないという自分の中の軸はブラしたくない)。

 私がモヤモヤする理由は、トランプ大統領が言い続けた選挙不正に関する「真相」が、公に解決されたとは言いにくい状況だからだ。検証の結果、それらが取るに足らないでっちあげであれば、この後味の悪さはないだろう。しかし、彼のラリーをすべて観た人なら分かると思うが、集会の大画面にデカデカと映し出されて説明されていた不正疑惑の数々は一体、何だったんだろう?と思うはずだ。

 トランプの熱狂的支持者ではない私でもそう思うのだし、先日も書いたように私のリベラル主義の友人たちでも「エスタブリッシュメントとされる特定の人だけが得をするようなことがあるなら、それは良くない。実際のところ、どうなんだろう?」と口々に話していたので(※)、トランプ大統領を支持してワシントンDCに集まった人たちとその家族たちが、この状況をすんなり受け入れられるとは思えないのだ(※特にトランプ大統領が国民のためには新型コロナウイルス補助金は600ドルではなく2000ドルを分配すべきと言い出してから、リベラル派が民主党の動向を疑問視する声が増加した)。

 真実を求めて立ち上がった彼らの民意は、一体どこに向かうのだろう? 先ほどパーラーなど保守系ソーシャルメディアもチェックしてみたが、それらを読む限り、熱狂的なトランプ支持者たちは「真実」を求めて、さらなる行動を起こすことを厭わないように思えてならない。

ある意味、予測できなかった最悪の事態?

 ワシントンDCの議事堂内にデモ隊が流れ込んで死者が出るという事態は、ある意味、予測できなかった最悪の事態と言えるだろう。事実、その出来事が原因で、トランプ大統領も「民意を煽った責任」が問われ、任期終了を目前にして、憲法修正第25条を用いた弾劾を必要とすると、ペロシ下院議長らが求めている。(トランプ大統領の存在は国として2週間も待てないほど危険ということ?)

 米大手メディアは言うまでもなく民主党の味方なので、トランプ大統領をここぞとばかりに叩きのめしている感じだが、私は今こそ冷静にならなければ、さらに予測できない最悪の事態も起こり得るのではないかと、ちょっと怖くなっている。

 先ほど述べたように、宙ぶらりんになったままの民意を、そのまま放置するのは危険だ。トランプ大統領も、これだけ粘りに粘ったのだから国民に対して、不正に関する納得いく説明をして欲しい。一応短いスピーチを公開していたが、それは「次期政権への秩序ある移行」については語られたものの、国民が一番ハッキリさせたいと思っているだろう「民主主義の脅威として、そこにあったかもしれない選挙不正疑惑」を詳しく説明するような類のものではなかった(ただし、取り方によってはまだ色々ありそうな含みがある言い方だったが)。

 また、米大手メディアやソーシャルメディアも、もう少し冷静さを取り戻してほしい。この状況をトランプ大統領ひとりの責任にしたり、トランプ支持者たちの言論を統制すればするほど、取り返しがつかない事態に発展する可能性もあると思うからだ。

 アメリカ国民の「マジョリティ」は、みな平和を求めており、分断など望んでいない。でも、ごく一般的な普通の人たちが声をあげようとすると、かならず誰かが間違った方向に持って行ってしまう。そうすると、声を上げた普通の人たちまでもが、あたかも悪に加担した構図になる。そんなのは、おかしい。

 Black Lives Matter (BLM)のときも、大暴れして本来のデモの意味合いを崩してしまったのは一部のしょうもない人たちだった。ワシントンDCの暴動も、議会に乗り込んだアホは一部だけ。多くの「普通の人たち」の民意は、なぜかいつでも置き去りだ。しかし本当は、そんな置いてきぼりの声にこそ、政治家もメディアも耳を傾けるべきではないだろうか? これ以上、アメリカ市民を追い詰めたら、この国は一体どうなるのだろう? こと今回の件に関しては、自分たちの大統領を決める大切な問題だ。その問題を解決する際に民意を無視すれば、一部の市民たちは、たとえば州を独立させようとするなど、本気の分断の道を選ぶかもしれない。そうなってしまったら、それこそ国家存続の危機になる。

 今回のアメリカのお家騒動は、現在、その焦点が「誰が犯人か」にだけ行ってしまっている。民主主義の下では、いかなる声も尊重されるべきだが、その基本を忘れた現状は極めて危険だと感じるし、もしかしたらこれが民主主義の限界ということなのかもしれない。

 犯人は大手メディアとグローバリストなのか、トランプ大統領とその支持者たちなのか。私たちが今、歴史から学ぶことを止めてしまえば、どちらかが反逆罪になるまで終わらないことにもなりかねないだろう(困)。

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