オクトーバー・サプライズ、今回は前回以上!

選挙2020

 アメリカの市民権を取得後、2回目の大統領選挙。いろいろなことを思いめぐらせながら、投票も済ませた。選挙は11月3日。このブログを書いているのは10月24日なので、いよいよカウントダウンが始まったという感じだ。

 そもそも選挙直前の10月には、必ず世間を騒がす事件が起こるのがお約束。「オクトーバー・サプライズ」という言葉もあるほどで、何か起こるのはアメリカ市民にとっては「想定内」でもある。前回は最初からメディアは「ヒラリー勝利」を決めこんで報道を続けていた。「トランプを支持するのはルーザー(負け犬)、学歴がない労働者が多い(本当はそんなことはない)」なんてことを言いながら。そんな中、俗に言うヒラリーの疑惑のメール事件が勃発。そして、トランプさんは「まさか」の当選をして、大統領の座をつかむことになった。

 前回の場合は選挙前も酷かったが、それよりも息も絶え絶えになったのは選挙後だった。当時、私はリベラル州の中でも、「真っ青」と言ってもよいような島に住んでいたので、トランプさんが大統領になることを許せない人たちの行動は、かなり過激だった。私は移民、女性、そして非白人。そういう人は、リベラルの「代名詞」でもあるのだろうか。「あなたが声を上げなければ、トランプのようなゲテモノを抗議する説得力が生まれないから、デモに参加してくれ」と何度も頼まれるようになった。

 そういう依頼があまりに多く、時には「マイノリティはxxxxxでなければならない」的な決めつけをされることもかなりあった。そんな風に自分の価値観を押し付けてくる輩にはほとほと疲れてしまい、最後に私たちは島を逃げ出して、別の近郊都市に引っ越しすることにしたほどだ。おおげさに聞こえるかもしれないが、本当の話だ。「会合には出られない」と断ったことで「マイノリティのくせに人種差別だ」とケンカ腰になる人も実際にいた。「移民、女性、非白人はトランプの敵と決めつけているほうが、よっぽど人種差別だろう?」と何度も突っ込みそうになったが、怒り狂った人に油を注いでも火が大きくなるだけだと、言葉を何度も飲み込んだ。

 あまりにその経験が強烈だったので、前回よりは過激なことは少ないことを祈っていたが、甘かった。今回のオクトーバー・サプライズは、誰もが予測していなかったトランプさんのCovid 19感染から始まり、バイデンさんの息子のパソコン問題など、本当に目が回りそうだ。メディアのトランプさんへの攻撃は相変わらずだし、疑惑まみれの証拠が提示されても、バイデンさんのことになるとダンマリになる大手メディアの態度、ソーシャルメディアの行っている「それ、言論統制でしょ?」というようなことも含めて、全てが意味不明と思うのは、私だけではないだろう。

 保守も保守で負けていない。トランプさんはギンズバーグ判事の次の判事を、早々にノミネートし、26日には上院本会議が、エイミー・コニー・バレットの最高裁判事指名承認を可決予定だ。保守にとってはよいだろうが、民主党にしてみれば、これはたまったものではない。砂かけ試合はデッドヒート状態。比例するように今週末は暴動も勃発。おちおち人混みには買い物にもいけない気分だ。

沿岸都市部のリベラルだけが「アメリカ」ではない

 これは何度もいろいろなところで伝え続けていることだが、アメリカはとにかく広い国だ。住んでいる場所が異なれば、住む人の考え方も文化も「外国なみ」に異なってしまう。それを意識しないと、アメリカの真の姿はまったく見えてこない。日本に馴染み深い沿岸都市部のNYやLA、サンフランシスコなどを指して「アメリカ」と考えてしまうと、今回の選挙も正しくは予測できないと思う。

 つい最近も日本の大手企業の結構偉い方が「トランプはとんでもないな。今回はバイデンが強いから撃沈だろうね」とおっしゃったので「そんなことないですよ、トランプさん強いですよ」と伝えたら、驚愕されてしまった。「だって日本のメディアではそう言っているよ」と。

 私はすでに日本人ではないし、日本を離れて10年になるので、「日本のことをよく知っている」とは言えない。だから実際に日本でどんな報道がなされているかは分からない。けれど、日本のメディアの報道支局のほとんどがリベラル州にしかないので、拾える声は当然リベラル中心ということなのかもしれない。

 トランプ政権には、もちろんよくない部分もあるだろう。例えば先の最高判事問題。これをメディアがバッシングするのは理解も出来る(トランプ政権からすると、そうせざるをえなかったことも同時に理解できるので難しい)。しかし、保守からするとバッシングに値するようなリベラルの主張や問題は、メディアは取り上げない。だから沿岸都市部以外の声とか、様子とかは、大手メディアだけみていても、まったく分からない。アメリカにいてもそう思うのだから、海外の人がアメリカの実情を知りえなくても、それは仕方ないとも思えてしまう。

トランプ大統領が、それでも強い8つの理由(個人的見解)

 というわけで、今回のブログではせっかくなので、実際にアメリカで今起こっていることを、書き残しておこうと思う。バイデン優勢と多くのメディアは伝えているが、私は少なくともそうは思っていない。繰り返しになるが、メディアは民主党寄りなので市井の声は拾っているとはいえない。どう冷静に状況をみても、勝負は控えめに見て五分五分。誤解を恐れず言うなら、トランプさん圧勝なのでは?とも思えてならない。私がトランプ大統領は未だに強く、メディアの声だけを信じるべきではないだろうと思う理由は、下記の通りである。

理由その1:トランプ大統領の選挙ラリーの熱狂ぶり

トランプ大統領の選挙ラリーの熱狂ぶりは、目を見張るものはある。どこもかしこも会場は超満員だ(コロナ騒動があるのに)。対してバイデン氏は、いささか静かである。例えば10月24日にフロリダで開かれたドライブイン・ラリーには、オバマ前大統領も応援に駆け付けたが、車は全部で280台、聴衆は約400人だった。(対してトランプさんが行った10月12日の同州サンフォードでのラリーの聴衆数は10倍以上の4000人

理由その2:バイデンさんの認知症疑惑

バイデンさんの健康状態を不安視する人は多い。認知症の初期症状という懸念は数多く聞かれることだ。実際におかしなことを口走って意味不明になることも多いし、公の場で話すことが全部飛んでしまい、秘書に「原稿もってこい!」と言い出す場面などもあった。それにしては討論会は、良く乗り切ったとは思うが……。

理由その3:中間層はこれ以上の増税に耐えられない

バイデンさんが当選した後に公約している増税は、例えばGAFAなど大手グローバル企業などに働いて、数千万円年間稼げる人には痛くもかゆくもないかもしれないが、中間層のほとんどには歓迎されないだろう。それはリベラル都市でも何ら変わらない。リベラル都市の中間層は、かといってトランプさんに投票するのもダメな人がほとんどなので、となると投票しないか、第三政党に投票することになり、いずれにしても民主党の表を減らすことにつながるという流れも予測できる。

理由その4:税金の使い道は、不法移民保護?

上記に関連するが、「増税された税金は何に使われるのか?」に疑問を持つ人が多いことも忘れてはいけない。バイデンさんの公約には、合法ステイタス支給を含む不法移民に優しい政策が多くみられる。しかし中間層にとっては、新型コロナの大打撃の中、「自分達だけでも大変なのに、どうして増税されて、そのお金で不法移民を保護して医療保険加入させるのか?」ということに納得できない人は大勢いる。また、彼の押し出す中国寄りの政策を不安視する声も大きい。「バイデンに決まれば、仕事を中国に奪われる」的な発言をする人は、大勢いる。

理由その5:カマラ・ハリスという悪夢に耐えられない

上記2でも説明したが、バイデンさんの認知症疑惑。これにより「大統領に例えなれても、バイデンさんは途中で政権交代をし、副大統領が大統領になるかもしれない」と推測する人を増やしている。そうなった場合、大統領になるのはカマラ・ハリス女史。しかしこの人は、「極左」すぎて、歓迎できないという人も多い。特にリベラルであってもクリスチャンという人にとっては、この人が熱心な人工中絶推進派であることを危険視する人も多い。アメリカの人工中絶は州によってかなり強烈だ。母親のお腹にいる日数に関わらず中絶出来る州もある(つまり出産予定日の前日までは中絶できる)。このあたりに関しては、ブログで合計3話分くらい書いても、きっと説明しきれないので、西森マリーさんの記事を参考にしてほしい。

理由その6:フィリバスター廃止の恐怖

アメリカにはフィリバスターというものがある。オバマさん時代から民主党は、これを廃止しようと躍起になっている。これは、少数党が議事進行を妨害するための手続きを指す。つまり少数党の権利を守るためのもので、この伝統があることによって上下両院で多数党を獲得したとしても、大統領は自由自在に公約を実現できるわけではないのだ。しかし、これがなくなって、民主党が政権を握ると、様々なことを意のままにしかねない。連邦判事の数を変えたり、定年制をなくすこと、州を増やして民主党に優位になる状況を作るということすら可能なのだ。バイデンさんはすでにそれをほのめかしているが、保守はこれを何としても阻止したいだろう。

理由その7:トランプ支持者は隠れていない

前回は「隠れトランプ」という言葉がメディアを賑わしたが、今回の選挙に関して言うとトランプ支持者は黙っていない感がある。まず、2016年だったら考えられなかっただろうが、NYやLAなどのリベラル地域ですら、大規模なトランプ支持者集会が何度も行われている。私が住んでいたリベラル優位のベインブリッジ島ですら、トランプさんの看板がたくさん庭に掲げられるようになっていた。私は6月に大陸横断をしてシアトル近郊から首都近郊バージニア州に引っ越しをしたが、街道沿いにある看板はトランプさんを応援するものばかりだった。バージニア州は中道に近い州だが、車を運転していてもバイデンさんの看板はトランプさんの1/5程度である。つまり、トランプ支持者はまったく隠れていないのだ。

理由その8:トドメのハンター・バイデン

これが一番理解不能だが、どうして大手メディアやソーシャルメディアは、バイデンさんの息子・ハンター・バイデンのパソコン問題を大きく取り上げないのだろう? ルディ・ジュリアーニ元NY市長が現在暴露しまくっているこの問題、息子が「ウクライナでマズイことをしていました!」などという甘いものではない。バイデンさんが副大統領時代にその地位を利用し、利益相反(もっというとアメリカを売る行為)をしまくっていたという話なのに。現在捜査中ということで、公にできる証拠は確かに不十分かもしれないが、大統領候補になっている人の問題なのだから、もっとちゃんと取り上げてほしい。とはいえメディアは報道しなくても、ソーシャルメディアも、近所の井戸端会議も大騒ぎである。これを近所の人たちと話さない日はない(保守だけでなく、リベラルの人も困惑している)。ハンター氏の危なすぎる性癖(14歳の姪と不都合な大人のお遊び、あるいはコカイン吸いながらの危ないセックス)なども疑惑に上っていることで、バイデンさんには投票したくないという人は、増えるだろうと推測。ちなみに、大手メディアでは報道が控えられている問題は、ジュリアーニ元市長のYouTubeチャンネルで確認可能だ。

マシュー・マコノヒーが語ったこと

 そんなわけで、私は今回もメディアの報道はだけを鵜呑みにしてはならないと見ている。例え大手メディアの報道が正しくて、バイデンさんが優位だとしても、トランプ大統領は手ごわい敵なのは間違いないのだ。

 多くのアテにならない報道もある中、最近ちょっと「おお!」っと思ったのは、俳優のマシュー・マコノヒーがFOXニュースで語ったことだ。最近自伝を出版したらしい。大統領選挙が近いということで、彼が以前に同番組に語ったトランプ大統領に対するコメントが紹介されていた。ざっくりいうなら、こんな感じだろう。

「大統領はもう決まっているわけで、僕らはいまさら選択の余地はないんだ。確かに今僕らは分断しているが、同時に異なる意見を持つ人が互いを認め合い、手を握り合う時なのではないかと思う。僕は誰が大統領になったとしてもその大統領が任務を遂行し、国が良くなっていくために祈る」

FOX News Interview: https://www.youtube.com/watch?v=VY7BIMR1r4Y 

 多くのセレブリティが「トランプ大統領、大嫌い!」と、時に無意味に感情的になる中、ハリウッドにもこういうことを言う人もいるのか!と、ちょっと意外な気がしてしまった。……というよりも、これがアメリカなのだ。何がか?というと、彼がいう「祈り」の部分。

 彼はテキサスに住んでいて、熱心なクリスチャンとしても有名な人だ。彼がどうかは分からないが、南部のクリスチャンの多くは、トランプ支持者でもある(ちなみに、インタビューでは彼は「誰に投票したかは、自分の胸に秘めて、口外しない」と言っていた。カッコいい模範解答であった)。アメリカは日本人が思っているよりもずっと、キリスト教の信仰があつい国である。「博愛」を重んじる彼らとしてみれば、「異なる考えの人もまた、人生には必要な学びを与えてくれる隣人」だったりするのである。分断はあっても認め合うという彼の放った言葉は、極めてクリスチャン的であり、アメリカの多くの人の考えを代弁しているようにも感じた。

 私は個人的に、こういう公平な考え方が好きだ。そもそも人はみな違う。だからこそ分かり合う努力が必要なのだ。トランプさんが嫌いという人がいても別にいいし、誰が誰を支持しようといいと思う。しかし、その相手が「嫌い」だからといって、その人の行った良いところまで責めたり、すべての評価しないと決めつけるような言動は、フェアとは思わない。トランプ大統領の大ファンでは決してないことを断った上であえて言いたいが、私は彼ほどメディアに過小評価されている人はそうはいないとも思っている。メディアは彼が行ったことの良い部分には、決して光を当てようとしない。功績もたくさん残しているのに(しかもアメリカのために働き、給与は全部寄付している。なかなか出来ることではないだろう)。

 何はともあれ、あと数日。お願いだから、これ以上のオクトーバー・サプライズはやめてくれ……な感じだ。選挙後には暴動があると大騒ぎで、近所の皆さんはライフルを買いに走っている(怖)。さっき隣の住人に聞いたら「今から注文しても在庫がなくて、11月末にしかライフル届かないのよ」と嘆いていた。なんという恐ろしい日常会話なんだ!!!

 あああああ、、、本当にアメリカの大統領選挙は心臓によろしくない。これから就任式が終わる来年の1月末くらいまでは、生きた心地がしないことも予測される。それまでの間、アメリカには用事がない限り、来ないことをお勧めしたい。

<メディアが報道しないトランプ大統領の基礎知識>
Junko Goodyear著
アメリカで感じる静かな「パープル革命」の進行とトランプ大統領誕生の理由

 

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