アメリカ社会を揺るがすQアノンとは?

アメリカの匿名掲示板4チャンネルに、2017年秋頃から現れるようになった、Qというハンドルネームの投稿者。アメリカでその存在を知らない者はないだろう。このQを信奉する「Qアノン」と呼ばれる人たちが、現在アメリカ社会でトンデモナイ影響力を持って、世間を騒がせていることはご存知だろうか?
アメリカ社会を揺るがQアノンとは、一体どんな人たちなのか? Wikiペディアを検索すると、こう説明がされている。
ドナルド・トランプ米国大統領とその支持者に敵対するとされる「ディープステート」が画策する秘められた陰謀について詳述している[。このアカウントは、多くのリベラル派のハリウッド俳優、政治家、高官らは国際的な子供の人身売買に関与しており、トランプはロシア疑惑を偽ってロバート・モラーを任命し、モラーにバラク・オバマ、ヒラリー・クリントン、ジョージ・ソロスからなる犯罪組織を解明させて彼らが企図するクーデターを防止しようとしていると主張している。「Q」とはアメリカ合衆国エネルギー省が定める最高機密の閲覧資格であるQクリアランス(英語版)を意味している。本資格保持者はアメリカ国防総省の最高機密をも閲覧出来る。
Wikiペディア『Qアノン』
トンデモ陰謀説だけとは言えない理由
西森マリーさんが時系列でまとめてくれているが、俗に言うオバマゲート(ロシア疑惑の捏造)関係者が起訴されたり、国家安全保障問題担当大統領補佐官だったマイケル・フリン元陸軍中尉の起訴取り下られたりと、一体あの「トランプ弾劾」は何だったのか?ということが続いている。Qアノンたちはこうした疑惑についての真の証拠や情報とされるものを探し出し、ネット上で発信し続けていたが、すべてについてではないにせよ「Qアノンが言っていたことの多くが本当で、メディアが言っていたことが嘘」という構図にすらなっている部分は否めない。
今までメディアが語ってきたこと、あるいはまったく語ってこなかったことがあたかも「意図的」だったのでは?と疑ってしまえる現状は、別にQ信奉者でなくても頭に浮かんでしまうのだ。だから、「Qアノンたちが単なるトンデモ陰謀説を唱えている、危険な人たちです」という烙印をメディアが押したところで、ちょっと説得力に欠ける気もする。それどころか「証拠隠蔽のためにQアノンを攻撃している」などと言われるがおちで、たぶん逆効果になるだろうな、と感じている。
もちろんQアノンコミュニティの中でささやかれる、故ケネディ大統領一人息子、「ジョン・F・ケネディJr.生存説」や、「ディープステートは悪魔崇拝をしていて、子供を虐待してアドレノクロムと呼ばれる薬物を生成し、それを摂取している」など、根拠や証拠が不明瞭な情報は「陰謀」と片づけられても仕方ないだろう?とも思う。しかしそうしたことも、ジョン・F・ケネディJr.の亡くなり方の不自然さや、トランプ政権下が最も力を入れていることの一つとして知られる「幼児性愛と幼児誘拐撲滅」などを並べてしまうと、「言われてみれば、Qアノンの見解は、ひょっとしたら正しい可能性もあるかもしれない」と思ってしまう人が出てくることも理解も出来る。
今回のブログの論点は、Qそのもののことではないのでこの辺で説明を止めておくが、ご興味がある方々は、是非Qアノンについて検索してみて欲しい。「色々出るわ出るわ、、、日本語でも!」という感じだ。(色々な意味で面白すぎて、Youtubeを何本も見てしまう羽目になるかもしれない)
Qのアカウントを削除するSNSと不穏な空気
選挙戦も本番を迎えた今、ドナルド・トランプ大統領を「救世主」のごとく扱うQアノンは、いま、SNSの目の敵にされている。トランプ大統領は8月19日に、「QAnonの人々は我祖国、アメリカを愛している」と発言したが、その当日フェイスブックからは、Qアノン関係の広告1500、Qアノン関連の900以上に及ぶグループページ、アカウントが削除された。これに先立ち、ツイッターは先月(2020年7月)に、Qアノン関係のコンテンツは提供しないことを決定いている。トレンドにもレコメンドにも載せないし、検索にもヒットさせない方針を発表しており、こちらでもQアノン関連のアカウントの多くはすでに削除され済だ。
SNS会社の言い分は、「Qアノンはフェイクニュースを流して社会を混乱させる」いうこと。そういう風に思う人がいることは理解できる。しかしそれを言ったら、大手メディアはどうなんだろう? 彼らはいつでも、私たちに本当のことをいつも教えてくれているだろうか? 個人から言論の自由を取り上げてしまうことは、正しいことなのだろうか?……たとえ、一部の人に対して、その発言の内容が不思議で不可解で、不愉快なことであっても。
こうした強行的な態度は、アメリカの分断を後押しし、二分化された社会の反発を高める一助になっているとしか思えない。そもそも選挙の年というのは、とんでもなくストレスフルなのだ。前回の2016年もそうだったが、あちこちで暴動は起きるし、相交わることのない「保守vsリベラル」の言い争いも多くなる。それに加えて今回は新型コロナウイルスで、社会がそもそもボロボロになっているので、この何とも言えない不穏な空気はさらに強烈になっている感じだ。
トランプ大統領を再選させたくない人たちにとって、QをSNSから追い出したことが吉と出るか凶と出るか。選挙まであと2ケ月半。選挙当日までに、色々騒動は続くだろう……