各球団、徹底的な感染防止策

大リーグ・ブログ2

 米大リーグ機構(MLB)が夏季キャンプ開始直前、全30チームの選手とコーチ陣に行った新型コロナウィルス検査で、3,740人のうちの1.8%にあたる66人に陽性が出た。この状況下での開幕に向かい、MLBのガイダンスに従って、各球団は感染を徹底的に予防するべく球場内の環境整備に細心の注意を払っている。

 選手たちは少人数のグループに分かれて練習し、施設内の滞在時間も短時間に定められている。ミーティングは球場の屋外スタンド席で行われ、ウエイト・トレーニングルームの利用時間なども大幅に短縮。食堂も閉鎖されているため、個包装の食事をチームメートとは距離を置いて屋外(スタンド席など)で食べなければならないなど、例年とはまったく異なる環境でキャンプが行われている。

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チームミーティングの様子

 選手やスタッフへの感染を防ぐため、取材メディアの移動も制限されている。前回のブログにも書いたが会見や囲み取材はすべてオンライン・ビデオ会見。記者がチームに帯同せずに取材できるように球団スタッフが撮影した練習の映像が日々シェアーされたり、ライブ・ストリーミングで練習が見られたりと様々な工夫がなされている。

それでも現場へいかねばならない日も

 それでも現場にいかなければ取材ができないこともある。たとえばシアトル・マリナーズの場合、投手陣のブルペン練習は球場にいかなければ見られない。ブルペンに設置されたカメラの映像は記者室のモニターでしか見られないからだ。

 飛行機やバスなどの公共交通機関を使用しなければリスクは減るので、どうしても球場へ行かなければならないときは、自家用車で行く。通常はスタッフ用駐車場の係員に入館証を見せるだけで敷地に入れるが、今季はすべてに関して異なる動線が引かれている。

 スタッフ用の駐車場入口には検問所のようなテントがある。マスクを着用して車の窓を開けると、係員がこちらの名前と所属先を確認して素早く検温。安全な数字が確認されると、チェックポイントを通過したという腕章が渡され、隣接する立体駐車場の指定の場所に駐車するように指示される。

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検問所は駐車場の至近距離に設置されている

 駐車場と球場を繋ぐ渡り廊下に「TIER3」グループ専用の入口がある。メディアを含む「TIER3」は球場内でアクセスできる場所が非常に制限されており、選手やコーチはTIER1、一部の球団スタッフはTIER2だ。選手たちは地下の専用駐車場からロッカールームへ繋がる専用通路を使うため、他グループとは接触しない。こうすることで、クラスター発生時の対応がスムーズにできるのだろう。

 入口は空港のX線検査のようだ。そこを通過し、隣接された部屋で顔写真入りの入館証を受け取る(今季はその日ごとに入館証を事前申請しなければならない)。

 「アメリカらしいなあ」と感じたのは、初日にRelease of Liability( 賠償責任免責同意書)という書類にサインをさせられたときだ。これは球場に来るリスクを個々が理解していること、もし新型コロナウイルスに感染しても機構や球団を訴えないことに同意する書類で、それにサインしなければ入館できない。

 「あと出しジャンケンは、させないぞ!」というMLB機構の気合いを感じたと同時に、そこまでの覚悟をもって球場に入ることを実感。サインをしているとき、ミネアポリスの警察官に首を抑えられて亡くなったジョージ・フロイドさんのご家族が「黒人の命の価値は20ドルなのか?」と司法委員会で訴えていたことをふと思い出した。

なんともいえない距離感がある取材

 書類にサイン後、テープを貼られた動線に沿ってプレス席へ。普段は関係者がひしめくプレス席の窓は全開で、左右前後のスペースが6フィート(約2メートル)以上離された指定席が用意されている。他人との接触をさけるため室内は一方通行で、自席を立って他の記者のところに話をしにいくことも禁止されている。

 通常ならば取材者はフィールドに出て練習を見て、試合の前後には選手のロッカールームにも入室できるが、今季はプレス席とトイレ以外は移動できない。フィールドに降りられないので、記者席からモニターを通して練習を見て、オンラインビデオを繋いで選手に取材をする……。選手や監督たちとの、この「なんともいえない距離感」。これが今後の取材の「ニューノーマル」になっていくのだろうか。

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