新政権

バイデン大統領は僕らの生活は向上させる

 2021年1月20日の正午、国会議事堂の階段でジョセフ・バイデンが宣誓して、トランプ政権は正式に終了した。大多数のアメリカ人にとって、それはお祝いで、階段はその象徴だった。残りの人たちにとっては、何年間にも及ぶ偽情報とナンセンスな陰謀説を言い訳に6人の死者を出した暴力的な行動が起きた階段だった。なぜ、アメリカ人がここまで分断したのか、その答えは出ていない。しかし、もしバイデンが公約の半分でも達成すれば、僕らの生活はこれまでよりもよくなるだろう。

 トランプ政権の4年もの間、遠大で破壊的な結果となる決断や大統領令がたくさん署名された。そして、ほとんど(もしくはまったく)経験がない人たちが責任のある役職に指名され、共和党の大多数によって国を治める重要な地位に任命された。ホワイトハウスの記者会見では、広報官と記者団との間で怒号が飛び交うようになり、広報官が記者の基本的な質問に回答することを拒否するか、全力で嘘をついた。同盟各国との関係を不和にし、独裁者に取り入り、白人至上主義者や陰謀論者たちを激励した。最低なことばかりの中で特に最低なのは、トランプ政権が新型コロナウィルス感染拡大をまったく止められず、約4万5000人もの死者を出したことだ。

新内閣24人中、女性11人、有色人種11人の顔ぶれ

 バイデン大統領は、選挙期間中からトランプ政権下の4年間で行われたダメージ(被害)を指摘し、それらを元に戻すと約束した。しかし、選挙期間中か任期最後の数週間、トランプ政権は毎週のように大統領令を振りかざして新しいダメージを加え続け(特に環境保護に反するもの)、バイデン大統領は就任以来、それらを慎重にひとつずつ元に戻す作業を根気よく続けている。片っ端からダメージを与えてきたトランプが何も着手しなかったことは、新型コロナウィルスに関するすべてのことだけだった。任期中の最終週にも、トランプ政権はコロナ対策に関しては何ひとつ言わなかった。トランプ前大統領が、バイデン氏の勝利を長い間、認めなかったため、セキュリティー・ブリーフィングやコロナ対策の戦略、政権スタッフの引き継ぎなどの作業を始められず、オフィスへの引っ越しすらできなかった。

 トランプ政権のこの対応は、バイデン新政権を動きたくても動けない状態に貶めたが、20日以降の新政権の動きは早かった。ほとんどの移行はスムーズに進められ、多くの議員たちは上院で次の人が決まるまで任務の遂行を依頼された。先月6日の国会議事堂での暴動後、大勢のトランプ派の議員が辞職したが、その他に継続を依頼されるようにクオリファイした人はいなかった。トランプ政権時代とは異なり、バイデン政権が任命した人々はそのエリアで非常に尊敬される人々ばかりだ。たとえば、財務長官には米連邦準備制度理事会(FRB)議長だったジャネット・イエレンを選んだ。また、内務省長官に指名されたデブラ・ハーランドは、上院で承認されたらアメリカで初めて入閣するネイティブ・アメリカンとなる。バイデン大統領は多様性を重視して指名し、24人の指名者の中で11人が女性、11人が有色人種(そのうちひとりはラテンアメリカ系で初めての国土安全保障省長官)、そしてうちひとりはゲイだとカミングアウトしている初入閣者(ピート・ブティジェッジ氏)だ。

まずは、これまでの制約を解くことから

 バイデン大統領は最初の数週間で驚くほどの量の仕事に着手した。まずはトランプが大統領令を使って廃止してしまった数々の案件を解除することで、それは「トランスジェンダーが再び米軍に勤務できる」ことや、「アメリカがパリ協定に戻る」こと、「人工中絶を支援する非営利団体が資金集めをしてもよい」とすること、「キーストーン・パイプライン建設を辞めさせる」こと、若年移民に対する国外強制退去の延期措置(DACA/the Deferred Action for Childhood Arrivals)の強化、そしてオバマケアー(国民皆保険)の再開だ。それに加えて、いくつか環境問題に関係することや、州が定める最低賃金を1時間15ドル(約1,600円)への引き上げ、人種差別への反応をただし、学生ローンの返済や追い立てを一時的に停止させる大統領令を発令した。

 ただ、新型コロナウィルスによるパンデミックは収束していない。死者数は大きく減らず、変異株も派生する中、バイデン政権は、トランプ前政権が何も準備せず、すべて各州に一任してきたワクチン配布プランを行動に移す努力をしている。前政権は具体的に提供可能なワクチンの数も把握していなかったので、新政権は白紙からのスタートとなった。これはバイデンが正そうとしている他の大統領令と同様に、各州にワクチンのサイトを設置するための経費を与え、検査できることを増やすパンデミック検査委員会(Pandemic Testing Board)を設置させ、200億服のワクチンを用意させた。新政権のゴールはアメリカに住むすべての人が、夏の終わりまでにワクチンを摂取できるようにすることだ。

 もうひとつパンデミックに関連することのゴールは経済的救援だ。CARES Actと呼ばれるコロナウイルス支援・救済・経済安全保障法に基づく多くの支給が終了したが、昨年コロナ禍で経済的に打撃を受けた人たちは今、家賃が払えず住まいから追い出される危機にある。民主党は1兆9000億ドル(約199兆円)規模の追加経済対策を打ち出したが共和党に拒否されており、共和党はこの半額の法案を出そうとしている。多くの経済専門家が民主党の案を推しているのは、共和党の案ではほとんど効果が出ないからだ。その交渉は内閣が全員決まるまで保留された後に開始され、コロナ感染対策はバイデン政権を輝かせた。バイデンは過去に二大政党提携の支援を得ることができた人だ。そして彼は、2008年のグレートリレッションからアメリカを救った「2009年アメリカ復興・再投資法(American Recovery and Reinvestment Act of 2009、略称ARRA)」におけるインフラの指令をマネージした。

 新政権、なかでもポジティブなことを見失わずに動かそうとしている者たちにとって、ここまでの数週間は目が回るほど忙しかったことだろう。もちろん、今でもQアノンの霧の中にいる人たちもいるし、彼らは現政権のことを悪魔だと信じているので、その考えを変えるのはもう遅すぎるだろうが、彼らが政府からの支援金とワクチンを受け取った時には、誰に感謝すべきかに気づくことを願うだけだ。

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