選挙

世論調査の対象者の内訳とは?

 米大手メディアの報道と世論調査を見ると、大統領選はすでにバイデン候補が勝ったも同然だと思えるだろう。

 しかし世論調査のほとんどは、回答者の内訳が民主党4割、共和党3割、無党派3割となっている。ギャラップ社が9月末に発表した世論調査によると、実際の内訳は民主党27%、共和党28%、無党派42%であり、ほとんどの世論調査では「民主党支持者の意見が1割以上多く反映されている」といことになる。

世論調査には有権者の熱意は反映されない

 また、世論調査には有権者の熱意が反映されない。トランプ支持者はトランプを熱狂的に支持しており、雨が降ろうが槍が降ろうが投票所に向かう人々だが、バイデン支持者のほとんどは「単にトランプを追い出すために、誰でもいいから民主党候補に投票する」という消極的なモチベーションしかない。

 さらに、もうひとつ忘れてはならないのは、今回の大統領選では、民主党はコロナウィルスを恐れて投票推進活動をメールやショートメッセージ、電話のみに絞り、戸別訪問を行わなかった、という点だ。

 これとは対照的に、共和党は何万人ものボランティアが週に100万軒以上の家庭を訪問し、有権者と顔を合わせ、目を見つめながらトランプの業績を伝え、「個人の自由と権利を守るためにトランプに投票しましょう!」と呼びかけている。

共和党派の投票推進ボランティア組織MTSF

 テキサス州には、「マイティ・テキサス・ストライク・フォース」(以下MTSF)という投票推進活動ボランティア組織がある。同組織のボランティアたちは、選挙の度に自腹を切って激戦州に向かい、現地の共和党支部と協力して家庭訪問を行って有権者を説得し、お年寄りや車を所有していない都心部の人々を投票所に車で送迎する、などの活動を行っている。

 MTSFは2000年に、当時テキサス州知事だったジョージ・Wブッシュが大統領に立候補した時に結成され、当初はテキサス人のみが参加した。しかし今では、共和党が圧倒的に強い南部の州、あるいはハワイやカリフォルニアなどの共和党が勝つ見込みのない州の共和党支持者たちも参加している。前回、2016年の大統領選では、約350人のMTSFメンバーたちがペンシルベニア州に出向き、精魂込めた有権者説得活動を行った。同州でトランプが4万票の差で勝てたのはMTSFのおかげだ、と言われている。

 実は、私の知人夫婦もMTSFのメンバーで、ペンシルべニア州に出かけて、慣れないマスクを装着して家庭訪問を行っている(私が住んでいるテキサス州の田舎では人口よりも牛の数のほうが多く、皆、最低2エーカーの広大な土地に住んでいるので人と接することがないため、マスクをつける必要がないのである)。

 10月下旬の段階では、ペンシルべニア州の世論調査では、バイデン候補が5%ほどリードしている。しかし、この夫婦は「民主党が強いフィラデルフィアとその近郊以外は7割方がトランプ支持者で、ピッツバーグの民主党票田であるブルーカラーの労組の人々もほとんどがトランプ支持者だから、ペンシルべニアでトランプが負けるとは思えない」と言っている。

 なかでも特に、今月22日に行われた大統領候補討論会で、バイデン候補が「化石燃料の使用を止める」と発言したため、トランプの集会ではバイデン候補が「石油もフラッキングを廃止する」と宣言しているビデオをジャンボトロンで流している。フラッキングが重要な産業であるペンシルべニア州でブルーカラーの投票者数が増えれば、トランプが勝てるだろう。

強力な福音派ボランティア組織の存在も

 テキサス州には、福音派教会を通じて激戦州に出向いている人もたくさんいる。福音派のボランティア組織の中で最も知名度が高いのは、22才の時に「神の声を聞いて、神に導かれて政治活動を始めた」というラルフ・リード氏が率いる「フェイス・アンド・フリーダム・コアリション」だ。約4400万人の福音派キリスト教徒が同組織に属しており、その半数が激戦州で投票推進活動をしている。前回の大統領選では、福音派の81%がトランプに投票したが、リード氏は「今回は85%をトランプに投票させる」と話している。

 今年の選挙で特に激戦州とみなされているノース・カロライナ州は、複数の世論調査でバイデン候補が数パーセントのリードを保っているが、同州は人口の35%が福音派キリスト教徒だ。リード氏の組織がその9割近くを動員すれば、トランプが勝てるだろう。

 福音派やMTSFなどのボランティア組織活動がどれほど効果を発揮できるか、選挙日までしっかり見守っていきたい。

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