
Contents
民主党が不利になるから? 「オバマゲート疑惑」が報道されない理由
もし、これが事実ならば、アメリカ政治史上最大のスキャンダルになるともいわれる「オバマゲート疑惑」。しかし、なぜかアメリカ大手メディアはその真相を追おうとせず、無視を決めこんでいるように見える。
オバマゲート疑惑とは、簡単にいうとトランプがロシアと共謀した証拠がないにもかかわらず、トランプの捜査を続行したオバマ政権の行為のこと。ここまで報道されないと、いくらなんでもおかしいのではないかと考える国民も増えているように感じる。
多くの保守派の人々からは、「オバマ政権の職権濫用が二度と起きないようにするためにも、バイデンを阻止しなくてはならない!」と言う声が出ているが、そもそも「オバマゲート」とは何を指すのか?
2020年大統領選挙を揺るがしかねないスキャンダル疑惑。時系列で問題を整理しておこう。
見つからない、トランプの「ロシア疑惑」の証拠
2016年11月の大統領選でトランプが勝利を収めた直後から約3年に渡って、大手メディアは「トランプはロシアと共謀し、ロシアの助けを借りて当選した」と、報道し続けてきた。
しかし、まず、この「ロシア疑惑」を捜査したモラー特別検査官の報告書には、オバマ政権国防省から資金援助を受けていた諜報員(スパイ)のステファン・ハルパーが、FBIに雇われてトランプの外交政策顧問だったカーター・ペイジとジョージ・パパドポロスをスパイ行為したことが報告されている。ハルパーは二人の会話を秘密裏に録音していたが、トランプとロシアが共謀している証拠は掴めなかったと記載されている。
「ロシア当局がドナルド・トランプ氏について決定的に不利な材料を入手している」という調査報告書、いわゆる『スティール文書』に「トランプとロシアの仲介をしているロシアのスパイ」と記されていたカーター・ペイジ。彼がロシアと深い関係にあったのは、ペイジがCIAに頼まれてロシアの情報を探っていたからだ。しかもFBIは、この事実を知っていたが、CIAから送られてきた「ペイジはCIAの情報源だ」というメールを、FBIのクラインスミス捜査官が「ペイジはCIAの情報源ではない」と改ざんしていた。
民主党へのハッキングを報告したのはオバマ政権の対策委員
また、前述のモラー報告書で、「ロシアが民主党全国委員会のコンピュータをハッキングした、というのは民主党が雇ったクラウドストライク社というコンピュータ・セキュリティ会社が出した結論であり、FBIは民主党全国委員会のコンピュータを検査していない」ことも発覚した。そして、クラウドストライク社の重役・スティーヴン・チャビンスキーは、オバマ政権のサイバー・セキュリティ強化対策委員だった。
さらに、2017年12月に行われた下院の非公開調査で、クラウドストライク社のCEOショーン・ヘンリーが、「ロシアが民主党全国委員会のコンピュータをハッキングした証拠は見つからなかった」と証言していたことが、今年5月に初めて開示された。
スティール文書の内容を裏付ける証拠は皆無
オバマ政権下でアメリカ国家情報長官を務め、トランプ政権移行直前に辞任をしたジェイムズ・クラッパーが、同非公開調査で2017年7月に「トランプがロシアと共謀した証拠はない」と証言していたことも今年5月に初めて開示された。
7月7日には、スティール文書で「ロシアのアルファ銀行がトランプとプーティン大統領の橋渡しをしている」と書かれたことを名誉毀損で訴えたアルファ銀行が、英国の裁判所で勝利を収め、裁判長がアルファ銀行への損害賠償として3万6000ポンドを払うことをスティールに要請した。
7月17には、FBIのピーター・ストロックが2017年1月に記したメモが開示され、この時点でFBIが「スティール文書の情報源は当てにならず、そこに書かれていることを裏付ける証拠は皆無だ」と認知していたことが分かっている。
「信ぴょう性がある情報」と偽ってまで裁判所に提出
このように、2017年1月の段階でオバマ政権司法省もFBIも、ロシアとトランプを結びつける証拠がないことが分かっていた。しかし、スティールがヒラリーの弁護士に雇われていることを隠し、スティール文書の情報を「信ぴょう性がある情報」と偽って裁判所に提出して、カーター・ペイジを盗聴する許可を得た。
ペイジ盗聴の許可を要請したオバマ政権の司法副長官、サリー・イェイツは、今年8月5日に行われた上院司法委員会の審問で、「現時点で分かっていること(クラインスミスの改ざん、スティールの情報を裏付ける証拠はゼロ)を知っていたら、盗聴許可要請はしなかった」と、証言している。
なぜ、マイケル・フリンは逮捕されたのか?
さて、2016年11月17日、トランプは、オバマ政権の海外干渉政策やイラン核合意に強く反対し、諜報機関の全面的改革を求めている諜報活動の専門家、マイケル・フリン元陸軍中尉を国家安全保障問題担当大統領補佐官にする、と発表した。そして同年12月、暫定政権代表者として、フリンはロシア大使と電話で話した。
アメリカの諜報機関は合法的に外国人を盗聴できる。だが、盗聴している外国人の話し相手がアメリカ人の場合は、盗聴記録を提示する際にそのアメリカ人の正体を隠すことになっている。しかし正当な理由があれば、アメリカ人の正体を隠している覆いを外すこと(アンマスキング)ができる。
2016年の暮れ、バイデン副大統領、コーミーFBI長官、ブレナンCIA長官、サマンサ・パワー国連大使、ジェイムズ・クラッパーを筆頭に、オバマ政権の約40人が、ロシア大使の話し相手のアンマスキングを要請した。
そして、通話の内容を知っているFBI捜査官からの尋問に対して、フリンが多少ニュアンスの異なる答え方をしたことで、フリンは「FBIに嘘をついた」という罪で逮捕された。
しかし、フリンを問いただした捜査官が、「フリンが嘘をついたとは思わなかった」と証言していたことが分かり、今年5月7日に、司法省がフリンの訴追を取りやめたが、裁判官が自ら弁護士を雇い、訴追を続行するための手続きを進めている。
バイデン前副大統領が持ち出してきた「ローガン法」
さらに6月24日には、2016年1月の段階で、FBIのストロック捜査官が「FBIはフリンは何の罪も犯していないことを認知していたが、バイデンが『ローガン法で捕まえろ』と提案し、オバマも同意した」と記していたことが発覚した。
ローガン法とは、政府の許可を得ていない人間がアメリカ合衆国と争っている外国と交渉することを禁じた法律だ。1799年に制定されて以来、1802年と1852年にそれぞれ1人ずつ告発されたことがあるが、二人とも起訴は免れており、それ以来一度も適用されたことがない無意味な法律だ。
こんな法律を持ち出してまでオバマ政権がフリンを投獄したかったのは、諜報の専門家であるフリンが、「オバマ政権がトランプをスパイした事実を発見することを恐れたからだ」と、言われている。
現在、司法省のダーラム検察官が「トランプをスパイ行為した人々」を捜査しており、9月には報告書が提出される予定だ。
民主党寄りに偏向している米大手メディアが、この問題をどう取り上げるか。11月の大統領選挙前にひと騒動が起こるのは必須だろうが、メディアが積極的に報道しないのであれば、一次情報を追いながら展開を見守る必要があるだろう。