2016年までは事前の世論調査の結果が選挙結果だった

世論調査

 1936年以来、2000年のゴア対ブッシュの選挙を除いたすべての大統領選で、大方の世論調査で「勝つ」と言われていた候補が勝利を収めてきた。2008年の大統領選でも、9月まではオバマとマケインの支持率が拮抗していたものの、10月終盤以降はすべての世論調査がオバマの勝利を予測し、2012年も8割方がオバマが勝つと発表し、その通りの結果となった。

 しかし、2016年は民主・共和両党の候補が決まった時点から、ほぼすべての世論調査がヒラリーの勝利を予測し、10月終盤以降も9割以上がヒラリーが勝つと言っていたが、結果はその反対だった

大手調査機関がトランプの勝利を予想できなかった理由

ハーバード・ビジネススクールの機関誌、『ハーバード・ビジネス・レビュー』は、「2016年の大統領選の世論調査が大幅に間違っていた最大の理由は、トランプ支持者の多くが世論調査に答えなかったからだ」と分析している。2015年にトランプが出馬を宣言して以来、アメリカのマスコミや民主党支持者のリベラル派の人々が「トランプ支持者は無教養で偏見に満ちた人種差別者だ」と言い続け、トランプの集会に行った人々の中には、リベラル派から殴る蹴るの暴力を受けた人もいた。それ故に、トランプ支持者の多くはひたすら沈黙を守り、世論調査会社の電話を無視し、たとえ応答しても本音を言わなかった。

 2016年の選挙結果を正しく予測したわずか数社の世論調査機関は、「自分が誰を支持するかに関して語りづらい」と回答した人達をトランプ支持者と推定し、さらに「あなたは誰に投票するするつもりですか」ではなく、「あなたの隣人は誰に投票すると思いますか?」という質問をして、トランプ支持層の数を正しく見積もることが出来た。

トランプ支持者たちをバカにするリベラル派の暴走

 トランプが大統領に就任後、マスコミとリベラル派のトランプ支持者に対する嫌悪感はさらに激化し、市民による暴行の頻度も増している。

 2019年8月に、テキサス州のホアキン・カストロ民主党下院議員が自らの選挙区でトランプに献金した人々を「人種差別者」だと批判し、彼らの氏名、職業、会社名などを公表した。それを見たリベラル派の一部がトランプ献金者に脅迫電話をかけたり、献金者の会社や自宅の前でデモを行うなどの嫌がらせ行為が続発した。

 同じ月に、CNNなどのコメンテイターとして知られるリベラル派のライター、レザ・アスランが、「トランプとトランプ支持者は白人優越主義者でMAGAハット(Make America Great Again)はKKKの白いフードと同じ。彼らは社会から根絶されるべきだ」とツイートし、トランプ支持者への憎悪を煽った。

2019年12月にも、政治評論家たちが「トランプ支持者は山岳部訛りや南部訛りの英語を話す無学な連中だ」とトランプ支持者を小馬鹿にした。

 世論調査は基本的には匿名で行われるものだが、調査をする側は回答者の電話番号やIPアドレスを知っているため、簡単に回答者の名前や住所をつきとめることができる。そのため、嫌がらせを受けたり、マスコミから「無学な人種差別者」と名指しで罵倒されることを恐れて、大半のトランプ支持者は世論調査に応じないか、たとえ応じても本音を言わない。

 英語では世論調査も、選挙での投票も「poll」と言う。世論調査で負けている候補は必ず「唯一意味のあるpoll(世論調査)は選挙当日のpoll(投票)だ」と弁明するのだが、今年の大統領選を前にして、すでにトランプ陣営がこの一言を連発している。

 今回の大統領選でも、ほとんどの世論調査には「隠れトランプ派」の意向が反映されないだろうと言われている。しかし、「投票する可能性が高い有権者」のみを対象に世論調査を行っているラスムッセン社と、固定電話と携帯電話の両方を使って調査しているインべスターズ・ビジネス・デイリー紙の世論調査は2016年の結果をかなり正確に予測していたため、信頼度が高いと見られている。
 

 大統領選ガイド(7)でも書いたが、大統領選は直接選挙ではないため、アメリカ全体を対象にした世論調査は無意味である。オハイオ州、フロリダ州、ミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルバニア州などの激戦州で上記2社が行う世論調査をフォローすれば、大統領選の行方が見えてくるだろう。

西森マリー著:
アメリカ大統領選完全ガイドブック:
これさえあれば100倍楽しく観戦できる!アメリカ大統領選挙早わかり!

ディープ・ステイトの真実 日本人が絶対知らない! アメリカ大統領選の闇

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事