保守派、リベラル派は、どうトランプ政権を見ているか?

アメリカの二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)。人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党のカラーである青を配して、両者の言い分を検証するこの企画。今回は「トランプ大統領への評価」について。
Redの言い分、Blueの言い分


Blueがトランプ大統領を最悪という理由
トランプ大統領のよくない点をあげろと言われたら、それを完全に表現するのに十分な言葉を見つけるのが困難なほどたくさんある。大統領としての行動はもちろんのこと、政府、国、そして愛する地球のためなどすべてにおいて、彼の行動は不安定だし、無責任で、残酷で、説明のつかないことばかりだ。彼は世界におけるアメリカの地位を著しく傷つけ、WHOやNATO脱退への執念とも思える行動は、地球全体を危険にさらしているに等しい。
イランとの核協定を撤回することへの彼の主張は、イランが核兵器を開発することをより容易にしたし、彼が推し進めた国境政策強化は、アメリカに来ようと試る人たちに恐怖を与え、親と子を引き離し、その心に永遠に続く傷を負わせた。イスラム教徒をターゲットにした入国禁止政策や亡命手続き略式排除といった人権侵害政策も行った。白人至上主義の露呈は、リーダーシップ欠如の表れだ。
また彼は大統領としての地位を利用し、ニセの情報と荒廃しきった陰謀論を政権内に満たし、まったく不適切としか言いようがない「仕事が出来ない人材」を重要なポジションに就かせている(例:公教育の概念を嫌っているベッツィ・デヴォスや、住宅と都市開発を担当している外科医のベンカーソン)。
彼は記憶される限り、昨今最もスキャンダルまみれの大統領でもある。民主主義の完全性をロシアとの共謀により損なわせようとした人たちを含め、彼の政権に関連する人の多くが逮捕されたり起訴されたり、有罪判決を受けている。政権はあらゆるレベルで政府機関が設ける規制を排除することを急ぎ、地球環境を危険にさらし、アメリカ人の生活を脅かしている。
2020年1月には、政府の専門家が警告したにもかかわらず、新型コロナウイルスの脅威を公然と「デマ」、あるいは「民主党が選挙を優位にするための陰謀だ」等と呼んでいた。(トランプ大統領の見解の正しさは、保守系メディアFOXニュースによって繰り返し報道され続けた)。
トランプ大統領は、感染症の専門家が出す真っ当なアドバイスを無視するかのように、ニセの新型コロナウイルスの治療法についても主張し続けた。(こちらもFOXメディアが大統領の主張を繰り返し報道)。また、政権および共和党は共に、経済失速、失業者増加の助長をゆるし、現在危機的状況で打撃を受けている企業への真の救済措置を繰り返し阻止している。(例えば民主党の場合なら、一貫して企業を含むすべての人に家賃免除を提案し、定期的な政府から市民への援助金、失業給付金の拡大、企業への補助金措置などを講じる提案をしている)。こうした処置は重要であるにもかかわらず、トランプ政権と共和党は、一貫してこれらの対策に反発、あるいは施策を弱体化させてきた。歴史的な失業保険請求や、倒産、廃業がアメリカで起こっているのはそのせいだし、この状況はこれからも続くだろう。(対照的なのは、イギリスだ。英国政府の解決策は、上記に示したアメリカの民主党寄の考えに近く、経済危機に陥る政策が功を奏している)。
トランプ政権誕生から3年半。市民の困難は終わっていない。つまり簡単に言えば、トランプ大統領は間違いなく私の生涯で最悪の大統領だし、史上最悪の大統領と言ってよいかもしれない。
Redがトランプ大統領を支持する理由
私が初めてドナルド・トランプに注目したのは、2011年の保守政治行動会議(CPAC)で彼が行ったスピーチのビデオクリップを見た時だった。彼は現在進行形で、アフリカ大陸東端のソマリア全域とエチオピアの一部などを占める半島、いわゆる「アフリカの角」付近のソマリアの海賊問題について話をしていた。その瞬間、私は彼のスピーチに「おや?」と意識を止めたのだ。
ちょっと考えてみて欲しい。現代社会は、このような迷惑行為を一日でも許すべきなのだろうか? 一握りの海賊が小火器と船外機を使って、何百万ドルもの貨物を積んだ商業用スーパータンカーを押収するという行為は、あまりにも大胆で許し難い行為だ。それなのに政府や企業は、海賊が要求するままに身代金を支払ったりしている。 世界全体、特に当時の米国は、こうした冗談のような状況に対し、ほぼ無視を決めている状態だった。私は犯罪者たちが好きなようにやっているのに、政治家は誰も気にしていないし、気づいてもいないという現状は間違っていると思った。しかし、トランプはそれを「間違っている」と明言したのだ。
トランプが実際に話した言葉は、おおよそこんな感じだ。「ソマリアの海賊について、私たちに関係ないことと言えるだろうか? 単純に考えれば、こんな問題はすぐ解決できるはずなんだ。優秀な提督が一人いて、良い船が何隻かあればいい。そうすれば、海賊なんぞすぐに海から吹っ飛ばせるだろう」…… シンプル、かつ効果的で面白い考えだ。
トランプは、既存の政治家ではない。だからこそ、素晴らしい政治家なのだ。「彼のすべてが好きか?」と聞かれたら、「NO」と答えるだろうし、彼が全て正しいとも思わない。しかし、最近の記憶を辿る限り、彼はほかの共和党政治家とは異なり、効力ある政策を出し続けるのに優れている。ひょっとしたらその方法は、美しくもないし、洗練されているようにも見えないだろうが、彼は仕事を着実に成し遂げていると言える。
彼は、かなり左派に寄ってしまった最高裁判所を正すべく、かなり保守的な裁判官を最高裁判事に指名した。人々を苦しめるだけのビジネス規制を削減し、効果のないイラン核合意を無効にし、NAFTAを再交渉し、「次に正されるべきは貴国との関係である」と中国に表明している。彼は人工中絶について反対の立場をとり、実際にも女性の権利を理由に人口中絶サポートを提供する非営利団体「Planned Parenthood(全米家族計画連盟)」への資金援助を制限させた。
「あなたは、トランプのツイートが気になりますか?」と質問されたら、私は「いいえ」と答えるだろう。アメリカは言論の自由が認められた国だ。その権利は大統領にとっても認められている。そもそも私は、トランプ大統領が美辞麗句を並べ立て、感情を揺さぶり、私たちを「気分よく」させてくれることなど期待していない。私が望むのは、実用的で機能的なリーダーシップ、そしてと健全な政府を導くことだ。トランプを批判する人は、お粗末にも彼の実績にはフォーカスが向かない。彼らはトランプが、国をリードするにあたって彼らの感情など気にも留めない態度だから、トランプを嫌っているのだ。彼の話し方も、彼が金持ちで自信満々なところも嫌っている。
しかしこれらのことは、トランプ大統領が国を運営する実際の仕事にも、彼が高い実績を上げられる人物であることにも、ほとんど関係ないではないか。トランプ大統領は自分がどう思われようが、気になどしていない。国の運営ことと、その運営のことしか眼中にないのだ。だから、私はトランプを支持する。アメリカ国家のためにも、アメリカ人のためにも。