
アメリカの国土の広さを意識しよう
前回、アメリカが「大きな国」であるということが、アメリカ市場について知るべき最も重要なことであるとお伝えした。この事実は「あまりにも単純すぎる」ので、多くの日本人がアメリカ進出を考える際に、つい見落としてしまいがちでもある。
日本の人口の約2.5倍、国土に至っては日本の約25倍もある広大なアメリカは、それだけ市場のパイも大きい。しかも州によっては、その州だけで日本全土と同じか、それより広い場合すらあるため、市場に自分が売りたい商品をリーチさせるためには、相当の営業努力が必要となる。ネット時代の恩恵を受けて「商売はどこにいても出来る」と思うかもしれないが、ネットでホームページを立ち上げても客が自動的に集まる訳ではないため、やはり営業は必要なのだ。となると、その営業を効率よく仕掛けて事業を成立させるためには、しっかりとしたブランディングとマーケティングが必須になるわけである。
しかし、日本からの相談を受けて「ブランディングとマーケティングの重要性」をお話しすると、「うちは既にブランド持っているので、ブランディングは必要ありません」とか、「大型有名店で扱ってもらえれば、認知されるはず」という回答が来ることが多い。また、「ブランディングと、マーケティングの違い」をきっちりと把握していない方々にも、よく出くわす。しかも、日本国内で成果をあげて高い信頼や実績を持っている方々ほど、その傾向(ブランディングとマーケティングの違いがわからない)が見られるが、残念なことに、それでは上手くいかないのがアメリカなのである。
アメリカではブランディングをやり直す必要がある
そもそもアメリカ人はすべてにおいて、マインドセットが日本人とは異なる。しかも同じアメリカでも、リベラル派が強い土地なのか、保守派が強い土地なのか、都市なのか田舎なのか、どこからの移民が多く住んでいる土地か、税金が高い地域か否か等によっても、市場が敏感に反応する「商材」や「売りの手法」は変わってくる。
また、多くの日本人が誤解している点として、ニューヨークやハリウッドなど「アメリカの流行を作る土地に目を向ける戦略」が、すなわち「アメリカで成功するために必須」だと思い込んでいることが挙げられる。商材によっては、日本人にはあまり馴染みのないような州から仕掛けた方がよっぽど上手くいくような場合でも、「とにかくアメリカ進出と言えば、ニューヨークかカリフォルニアでしょう!」と前のめりになってしまう人や企業の数は相当多い。商機が他の場所にあるならば、そこで仕掛けて収益化した方が、結果的に都会でも認められるケースは数多く存在するのに、この「思い込み」は相当もったいない。商材をきちんとアメリカ市場向けにブランディングしなおしてマーケティングすれば、こんなことはすぐ分かるはずなのだ。
アメリカ進出には、一番ケチってはいけない予算
「ブランディングとマーケティング」をアメリカ向けにしようとすれば、それ相当の予算は掛かる。しかし、この2点こそがアメリカで勝負する際に、もっとも「ケチってはいけないお金」であることには間違いない。市場の特性を知らずに市場に乗り込もうとする人の多くが、ブランディングとマーケティングが最も不要な予算だと思う傾向が高いようだが、実はそれことが最も時間とお金をかけるべきアイテムのひとつであることに早く気づいて欲しいものである。
アメリカで必要な「ブランディングとマーケティング」とは一体どんなことなのか。それは次回から時間をかけて、ゆっくりお伝えしていきたいと思う。
今回のひとこと:
アメリカは広く、市場は思わぬところに存在する。ブランディングとマーケティング予算はケチらず行こう!
*この記事は、BizSeedsより引っ越しさせた記事です。