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オンライン教育に注目が集まる中、必見の社会教育サイト
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、オンラインで学べる教育プログラムのニーズが高まっているアメリカ。そんな中、米シアトル発の子供向けYouTubeチャンネル「HiHo Kids」が、子供だけでなく大人たちの間でも人気だ。なかでも同チャンネルの「Kids Meet」というシリーズが多くの人たちに感動を与えている。一体、どんな番組なのか?

子供が本当の「社会」と出会う場
「HiHo Kids」は、YouTubeを中心に動画を配信するウェブメディアCut.comが手掛けるブランドのひとつだ。設立からまもなく2年が経つが、同チャンネル登録者は2021年1月時点で435万人。その数は日々増え続けている。
この番組は「子供たちに様々な人や職業、生活、食などに出会う場」を提供しようという目的で運営され、すべての動画には「子供たちが新たな何かに出会った時、どんな反応をするか」が収録されている。偏見のない子供の素直な反応から大人が学ぶことも多いということが口コミで広がり、大人にも人気の番組に成長した。
なかでも注目は同チャンネルの「Kids Meet」という番組。同シリーズは、子供たちが様々な背景を持った大人たちと出会い、語り合うもの。出会う大人たちはバレリーナ、助産婦、警察官、鍼灸師、トランスジェンダーなどもいれば、聴覚障碍者、ダウン症やアルツハイマーの人たちなど実にさまざまだ。日本人強制収容所の体験者や、自殺からの生還者、難民、はたまた元銀行強盗まで登場する。その人気シリーズの中でも、多くの人の心を動かした動画のひとつを紹介しよう。
見始めたら止まらない!子供たちの素直な反応から学べること
同番組のどのエピソードを見ても驚くのは、子供たちが相手と「ごく普通に」接し、語り合っている姿だ。大人だったら聞きにくい質問も、子供たちは臆することなく質問する。出会う大人たちには何らかの特徴があるが、子供たちはその特徴に対して素直な興味を示す。固定概念に縛られた目で相手を見ることもなく、何かを最初から決めつけ語ることもしない。エピソードはすべて5分〜8分の短い動画で、子供と大人の会話だけを紡いだシンプルなつくりだ。
生きていると、人は様々な価値観を持つようになる。主観で何かをジャッジする前に、相手に対して「まずは心を開いてみる」ことは意外と難しい。時には自分の価値観を横に置いて、ありのままに物事を見てみる。子供たちの素直な反応を紹介する同番組が支持される理由は、そんな気づきを大人たちに与えてくれるからかもしれない。
多様性がしきりに問われる現在。人種や職種などに起因する差別問題は、アメリカ社会の大きな課題でもあります。しかし、多様性を推進しようとする者が近視眼的になり、「自分の正義」と少しでも異なる考えに対しては寛容になれず、攻撃的になってしまうという矛盾もあちこちで起こっています。そういう人に足りないのは、ひょっとしたら「相手の立場に立つ」という当たり前のことなのかもしれません。この番組では、子供たちが多様な人たちと接し、素直な反応を見せていますが、子供以上にこの番組で多様性を学ぶべきは、実は大人達なのかもしれません。
by Junko Goodyear