自然を感られる腕時計

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自然の中のミニマリスト 時計を超えた小さなアート

「自然の中のミニマリスト」と打ち出したシンプルで美しいデザインと明確なミッション・ステートメントで知られるAnalog Watch Co

 ニューヨークの近代美術館(MOMA)やゲッティ美術館のストアなど、デザイン性の高い商品を揃える各地のセレクトストアが認めるブランドながら、価格帯がリーズナブルで多くのファンを獲得している。アナログ・ウォッチの魅力を創設者のバファ・ローレンゾー氏は「時間を見るたびに、腕に着けた小さな彫刻から自然を感じられるはず」と語っている。

製の時計をひとつ購入すると、1本の木が植樹される

 同社の腕時計は、木やマーブル(大理石)、コルク、植物などから作られ、素材となる資源の保護活動に非常に力を入れている。

 木製の時計「カーペンター・コレクション」($150)の場合、腕時計をひとつ購入すると、1本が植樹されるように非営利団体のTrees for The Futureと提携し、すでに数万本が植樹されている。Trees for The Futureは過去30年間で1億8千本以上の植樹をするとともに、農家が環境保護と共存していけるための教育も行っている非営利団体だ。

 マーブルやコルクで作られた時計の場合は、時計の売り上げの一部がエネルギー開発や環境保護を理解する教育のためなどに寄付される仕組みになっている。

植物の息吹「ボタニスト」シリーズ

 新しく登場したラインは、植物から作られたボタニスト・ウォッチ・シリーズで、腕時計($120〜)、カフス($59)、リング($69)が揃う。「緑苔がデザインされた時計をはめて、舗装道路を歩けばステートメントになる」という打ち出し方も、いかにも時代を反映している。

 優れたデザインと高品質を保ち、それを手頃な値段で提供するだけでなく、確かなメッセージ性を打ち出したブランド力で躍進するAnalog Watch Co. 次のエコ素材には何を打ち出してくるのか、各社の注目が集まるブランドだ。

記事を検証!

 この企業の取り組みは、社会への還元手法がとても明確です。腕時計をひとつ購入すると1本が植樹される仕組み自体も、そのメッセージもとてもシンプル。分かりやすいので、顧客の購買動機は高くなります。「顧客とともに良い社会を作る」というコーズ・マーケティングの成功例と言えるでしょう。
 
 アメリカでは、企業の社会還元活動自体を「マーケティングの軸」に置く企業は結構多いのですが、それは今や企業が勝てる要素のひとつにもなりつつあります。そんな中でも忘れてはいけないもの、それこそが社会還元の「具体性」です。美辞麗句を並べても「何をどのように還元していて、それは何のためなのか」は具体的にしないといけません。日本の企業の皆様の北米進出のお手伝いをする際にも、毎回それをお伝えしています。

by Junko Goodyear

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