誕生日、遺産贈与にも「社会支援を取り入れるアメリカ

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 アメリカでは比較的大勢の人が、「何らかの形」で社会支援活動に参加している。特定の非営利団体を応援してボランティア活動に参加したり、定期的に寄付を行うことなどが一般的だが、それは経済的に余裕のある人たちだけに限られたものではない。

 アメリカにおいて社会支援に関する意識が養われる機会は、子供の頃から多い。例えば夏場によく自宅の前に出ている「レモネード・スタンド」などは、小さな子供たちでも出来る募金集めの定番だ。高校では学生が地域の非営利団体でボランティア活動をすることが必須であり、必要単位に組み込まれている場合もある。

 また、ノブレス・オブリージュ(地位あるものが社会的義務を担う)という意味でも、社会還元がビジネス成功のステイタスのひとつとして求められる傾向も高い。

90日に一度、社会貢献を定期購入できるサービスが登場!

 最近はソーシャル・メディアを使って寄付活動を行う人も増えている。たとえばフェイスブックなどを利用し、誕生日にプレゼントをもらう代わりに、自分が応援する非営利団体に寄付をお願いする人はとても多い。また、自分の遺言書の遺産贈与の内訳に、自分の支援する非営利団体への寄付を希望する項目を加えることも一般的になってきた。

 そんなアメリカの慣習に目をつけたのが、「Crate of Good」だ。日本語に訳すと「善のカゴ」といえるこの商品は、90日に一度、「社会を変えるための商品」が詰まった箱が届けられる、定期購読式のサービスだ。箱の中の品物は、Tシャツなどのアパレル商材から食品、生活雑貨に至るまで、「購入するという行為を通して貢献する」という社会支援に紐づけられたものばかり。自分が支援したいカテゴリーは動物愛護、次世代貢献、環境保護、貧困撲滅の4つから選べるようになっており、たとえば「今期は、貧困地域に飲み水を配給できる支援を行う」など、その支援の詳細も定期的に更新される仕組みだ。

 日本ではちょっとないようなサービスだが、「何か社会の役には立ちたいけれど、どんな活動を支援していいか分からない」という社会支援活動初心者には、とても便利だろう。料金は四半期ごとに59.99ドルから。まさにアメリカらしいビジネスだ。

世界をみんなで良くしていくということ

 こうしたビジネスが登場する背景にも、昨今日本でも意識されることが多くなったSDGsの浸透の深さがうかがえる。多くの人が自分が取り組みたい社会的課題を持つようになっており、自分が貢献したいSDGsのエリアへの寄付をしたり、ボランティアをしたりする人がかなりいる。

 そういう人たちにとって重要なのは、自分の貢献が具体的に「何に役立つのか」ということ。寄付やボランティアを募る団体も、気を配らねばならない点だ。単に「アフリカの飢餓を救うために寄付してください」では不十分。「20XX年X月までにXXXXドル集めることにより、XXX地域の乳幼児の死亡率をXX%下げるため」など、具体的であれば具体的なほど支援は集まりやすい

 世界をみんなで良くしていくということに、積極的なアメリカ人だが「理由や目的が不明瞭なものには、お金は一切出さない」という姿勢も、かなりハッキリしているようだ。

記事を検証!

日本と異なりアメリカには寄付への税金控除があるため、ビジネスと社会貢献はセットにしやすい背景もあります。収益性高いビジネス経営の裏には、必ずと言ってよいほど高い社会還元の仕組みが動いており、事業部にもSDGsはもちろん、地域社会貢献を扱う専門部署がある企業は、本当に多いです。このあたり、日本とはかなり法律が違うので、よろしければこちらのブログをご覧ください。私もアメリカに来てから、非営利団体の理事・顧問を引き受けていますが、企業と非営利団体の密接な関係や、企業の事業成長、非営利組織のファンドの集め方の関係性などにも、ある一定の成功法則があるな、と思ったりすることが多いです。日本の皆さんが、もしもアメリカ進出を考える際には、是非事業の社会還元性は何か、というテーマも熟考されて頂いた方が収益につながると思います。

by Junko Goodyear

参考URL:
Crate of Good

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