NY、LAで人気が爆発! 今や需要は全国区

ヘルシー食のトレンドは次々に生まれる。たとえば白いパンより茶色いパン、パンよりも米、米よりも雑穀米、雑穀米より野菜の方がさらに健康だというように。そんな食のトレンドの中でも、今アメリカで熱いののがカリフラワーだ。4〜5年前からニューヨークやロサンゼルスなどの米沿岸都市部で脚光を浴び始め、 今や最も人気のあるヘルシー野菜の代名詞になった。控えめなサイドディッシュでしかなかったカリフラワーが、なぜ、アメリカでこれほどウケたのだろう?
アメリカでは数年前から、糖質が多い炭水化物とカロリーを抑えるために、穀物に代わる 「ベジタブル・ベース・オプション」として、 カリフラワーや人参、ブロッコリーなどの野菜を細かくカットして「米の代用品」として使用する料理が多く紹介されるようになった。以前は、「ライス」(rice)とは「米」や、炊いた米である「ごはん」を指す名詞の英単語だったが、最近は「ごはんのような」という形容詞や、ときには「ごはんにする」という動詞としても使われるようになってきた。
今や、ライスはお米とは限らない
そんな「米の代用品」のなかでも特に目立つのが、カリフラワーなのだ。繊維やプロテイン、マグネシウムは米よりも少ないが、ビタミンCとKを多く含むというカリフラワーを、炊いた米のような大きさに切り揃えて袋入りの「カリフラワー・ライス」や、チャーハン(Fried Rice)の米の代わりにカリフラワーで使って調理した「カリフラワー・フライド・ライス」の冷凍食品などが市場に出回っている。
たとえば、全米展開するヘルシー系スーパーマーケットの Whole Foods やTrader Joe’s、一般的な大手スーパーでも大手食品メーカーのGreen Giantや Boulder Canyonなどは積極的に野菜ライス・シリーズを販売し、人気を集めている。冷凍食品だけでなく、デリ商品などにもカリフラワーの需要は大きい。お弁当にカレーを買ったら、ご飯がお米ではなくカリフラワーだった、ということが起きることもある。つまりもはや、アメリカで食品パッケージやメニューに「ライス」と書かれていても、米が入っているとは限らないのだ。
カリフラワーを使った驚きの商品が次々登場
カリフラワー・ライス以外にも、カリフラワーを使った食品は次々に商品化され、どれも人気だ。マッシュド・ポテトの要領で蒸して潰した「マッシュド状」にしたカリフラワー・マッシュや、「カリパウダー」というカリフラワーから作ったベーキング・ミックスなどを使って、ニョッキ・パスタやリゾットを作り、それを冷凍食品にして売り出すメーカーも増えている。カリフラワーのアイスクリームなるものまで登場している。
これは、フロリダのアイスクリーム・メーカー「Peekaboo Ice Cream」が開発した商品。野菜が入っているのに野菜の味がしないため、子供たちが喜んで食べてくれると、小さな子供を持つ親たちから人気を博している。すべてオーガニックで、フレーバーはカリフラワーをベースにしたチョコレート味、人参をベースにしたストロベリー味、ほうれん草を入れたミントチップ味など5種類、各8ドル(パイント・サイズ)。ブランド名の「Peekaboo」=「かくれんぼ」の通り、スイーツの中に隠された野菜の栄養が摂れるのは一石二鳥という、甘い物好きに好評で、おしゃれなパッケージも人気だ。
アメリカには過去にも葉野菜のケールが突然脚光を浴び、野菜としての地位をあげた経緯がある。今やケールという野菜を知らない人がいないほど定着し、家庭ではなくてはならない食材にまでなった。カリフラワーは新しく現れた野菜ではなく、その持ち味が「再発見」された野菜。もともと馴染みのある野菜だけに、新しい食べ方がまだまだ生まれそうだ。
数年前、近所のトレーダージョーズ(Trader Joe’s)で初めて「カリフラワー・ライス」のパッケージを見たときは、カリフラワーを「お米風」にしたものとは思わず、「カリフラワー風味のお米」が登場したのかと思って驚きました。それまで、お米以外の食品のパッケージに「Rice」と書かれたものを見たことがなかったので、「ライス=お米」である、と脳に刷り込まれていたのでしょう。あれからたった数年で、アメリカの大都市にはテイクアウトやデリにおける選択肢が、「白ご飯、玄米ごはん、ベジライス」と三択ある店が増えました。カリフラワー・ライスはアメリカでトレンドが浸透する速さを実感できるアイテムのひとつだと思います。
by 村山みちよ
参考URL:
Peekaboo Ice Cream