新型コロナ第2波に備えて、NASAの技術を一家に一台

テックな水耕栽培

 自宅で手軽に野菜の水耕栽培。それを可能にした技術も、もはや珍しいものではなくなってきたが、なかでもCLICK & GROW社の製品は大きな支持を得ている。しかも、新型コロナウイルスによる「食糧危機」を不安視する人たちの間で、「第2派に備えて、一家に一台」気に急激に需要が増えているらしい。

 「遺伝子組み換え種子を使わず、安全で安心、美味しくビタミンたっぷりの野菜を家庭で育てることで、農作物を持続可能な形で供給する」という同社の謳い文句は、それだけでも魅力的だ。しかし、この商品を特別にしているのは、NASAの技術力。このキットに使われている土壌ポッドは、「スマート・ソイル」というNASAの技術に由来している。

全米で支持されるスマート栽培の全容とは

 すべての種は、スマート・ソイル・カプセルに入った状態で自宅に届く。このカプセルは、植物が繁殖するのに必要な環境を完璧に作り出せる仕組みになっており、植物のライフサイクルに合わせて栄養素を放出する仕組みだ。プログラムによって自動で土壌のpHバランスを維持し、小さな酸素ポケットを使用して植物が育つために必要な酸素供給をし、栄養素を完璧に確保できるという優れもの。それなのに管理もセットアップも簡単ということで、「植物をすぐ枯らしてしまう」と不安になる人でも、気軽に自宅菜園が始められる点が、全米で支持されている理由だろう。

QRコードでプログラムを起動!

 スマート・ソイル・カプセルには、QRコードが印刷されている。商品が届いたら、このコードを使って、カプセルをアクティブな状態に起動し、あとは専用アプリで管理するという仕組みだ。植物はLEDランプで育つが、その調整もアプリでスマート管理できる。いったんカプセルを起動させてしまえば、あとは指定された量の水をキットに加えるだけという手軽さだ。

 こうした技術が今後さらに歓迎されるようになれば、農業の未来が変わる可能性もあるだろう。「野菜は安全な土壌で作られた、家庭菜園で賄う」という日が来るかもしれない。

 

この記事を検証

サステイナブルであることが年々重要視される中、自宅で植物を育てる人たちが増えたと感じていましたが、パンデミックが起きてからは、アメリカでは多くの人たちが「流通が止まっても何とかなるように」と、家庭菜園を始めています。ナーサリーやDIY用品店などはエッセンシャル(必須)な業務としてコロナ禍でも営業中で、大きな袋に入った土などを配達するトラックもよく見かけます。とはいえ、誰もが菜園や野菜作りに長けているわけではありませんし、庭やベランダがない人もいるので、簡単に野菜が育つカプセルを購入したくなる気持ちはわかります。なぜか鉢植えの植物を枯らしてしまう私のような人にとっては、まさに「エッセンシャル」な商品といえるかもしれません。

by 村山みちよ

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