監視

ひとりの立会人が10卓を監視するのは不可能

 米大統領選の投票日から2週間が経過し、ジョージア州では両党の立会人が監視する中で票の再集計と監査が始まった。しかし許可された立会人の数は10個あるテーブルにつき1人である。郡によってはひとつのテーブルに4人以上の作業員がいるので、再集計でも監査でも真の監視は不可能だ。

立会人が1枚1枚の投票用紙を監視できない状態で行われる再集計作業は、不正票も含まれる票をただ数え直すだけなので、全く意味がない。

そこにきて民主党が牛耳る郡では、共和党の立会人は「柵の外からしか監視できない」という様子を写したビデオをジョージア州共和党委員長のデヴィッド・シェイファーがツイートしたため、トランプ支持者たちは再集計は猿芝居だと思っているようだ。

ジョージア州の「監査」は当てにならない

 本来、監査では以下3点を確認する必要がある。

1.署名照合
郵便投票の封筒に記された署名と有権者登録名簿に記された署名が一致するかを確認する

2.住所照合
郵便投票をした有権者が、実際に封筒に記された住所に今も住んでいるかを確認する

3.生死の確認
郵便投票をした有権者がまだ生存しているか否かを確認する

 しかし、ジョージア州における監査は以下の理由からも当てにならない。まず上記1番の署名照合に関して。

 今年5月、マーク・イライアスという弁護士が「署名照合の結果除外されるのは黒人が多いため、署名照合は人種差別だ」と訴えた(マーク・イライアスはヒラリー・クリントンのお抱え弁護士。2016年のロシア疑惑のきっかけを作ったクリストファー・スティールを雇った人物)。この裁判が長引くことを恐れたジョージア州務長官が、州議会を通さずに独断で「署名照合はしない」と約束したため、今回の選挙では署名照合の手続きが排除された。

しかし、これは合衆国憲法第1章第4節1項の「選挙に関する法律は各州の立法機関が決める」という条項に反する違憲行為である。トランプ側(共和党)は、監査する際の署名照合を要求しているが、1人の立会人が10個のテーブルを監視するのは不可能なので、不正投票者の封筒を突き止めることは出来ない。

 2番目の住所照合は、下記のアリゾナ州の例からも正しい調査が必要だろう。元トランプ政権IT専門家、マット・ブレイナードの調べによると、バージニア州から他州に引っ越したにも関わらず、バージニア州で投票した人々が1万7877人いることが発覚した。現在、ブレイナードと彼のチームが、その1人1人とコンタクトを取って、本当にバージニア州で投票したか否かを調べている。

 ブレイナードはアリゾナ州でも同じことを調べ、テネシー州に引っ越した有名な黒人のレスリング選手、ナション・ギャレットがテネシー州で投票し、アリゾナ州では投票していないにも関わらずアリゾナで投票したと記録されていることが分かった。ギャレット選手は「いったい誰がアリゾナで僕の名前を使って投票用紙を申請し、投票したのか、偽の署名が記された封筒がどうやって署名照合テストをパスしたのか、不思議でならない」と語っている。

 3番目の生死の確認も、現在ブレイナードのチームが調べている最中である。

たとえ不正票が証明できても、誰に投票したかはわからない

 ジョージア州におけるバイデンとトランプの差は1万4122票。他州に引っ越したにもかかわらずジョージア州で投票したとされる人々の票数よりも、3755票少ない。つまり、もし他州に引っ越した人々の票が、ギャレット選手のケースと同様な不正投票だった場合、トランプが勝っていたかもしれないことになる。

 ただし、ここで大きな問題となるのは、たとえこれらの票の不正が証明できたとしても、誰に投票したのかは確認できない、という点である。

 他州へ引っ越した人々と連絡を取り、ジョージア州で投票していないことを確認し、彼らの名前と住所が記されている封筒を探し出して封筒の署名が偽物であることを証明できたとしても、集計の際には無記名の投票用紙が封筒から取り出され、その後は封筒は封筒の収容箱、投票用紙は投票用紙の収容箱に入れて保存されているからだ。

 多くのトランプ支持者たちは、「ジョージア州内でバイデンが圧勝した郡は、民主党が圧倒的多数を占める郡だから不正があったに決まっている」と言っているが、たとえ不正投票を証明できても、バイデンへの投票だったとは証明できないのである。

関係者が嘘をついているのだろうか?

 そのため、トランプ側は不正投票の証明と平行して、同州で使用されたドミニオン社のコンピューターのエラーが、「エラーではなく作為的な操作だった」ことを証明するために、激戦州で使われたドミニオンの投票機を監査するための訴訟を起こそうとしている。

 テキサス州では2012年に1度2019年に2度、ドミニオンの投票機を調査し、「投票所で選挙管理人が裏から操作できる」などという理由で「信用できない」という結論を出し、ドミニオン使用を拒否している

 2019年12月には、民主党大統領選候補だったエリザベス・ウォーレンとエイミー・クロブチャーを含む4人の民主党議員が「ドミニオンの投票機は、1人の候補の票を別の候補の票として集計することがあり、信頼度が低い」という調査を発表している。

 今回の選挙では、7月以降、大手メディアが継続して「バイデンが圧勝し、民主党が下院で10議席以上増やす」と言い続けていたにもかかわらず、バイデンは圧勝せず、下院では共和党が17議席増やした。しかも、下院で勝った共和党候補は全員トランプを熱烈に支持しているため、トランプ支持者たちは「トランプの支持者がアメリカ全土で勝っているのに、トランプが負けるなんて有り得ない」と思っているわけだ。

 特にミシガン州では、共和党支持者が多い郡ほど、トランプの得票率が低いので、トランプ支持者たちは「腑に落ちない」と感じている。そのミシガン州デトロイト市の投票所にいたドミニオンのスタッフ、メリッサ・キャロンが、「集計人がバイデンに投票した50枚の投票用紙を、何度も何度もドミニオンの投票機に入れていた」という宣誓供述書を今月15日に提出した。

 米大手メディアは「不正の証拠はない」という報道を続けているが、ナション・ギャレットやメリッサ・キャロンが嘘をついている、ということなのだろうか?

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事